山之口獏の詞

昨日の日記の中で紹介したフォークシンガー高田渡。彼のアルバム『ごあいさつ』の中で、耳に引っかかった曲がありました。その曲のタイトルは『鮪と鰯』。どっかで聴いたことがあるなと思って、ずっと悩んでたんですけど、調べてみたところキセルというユニットがカバーしていたんですね。それで聴いたことがあったのか…、何となく納得。高田渡さんのこのアルバムでは、山之口獏さんの作品を引用した歌詞が多いのですが、衝撃的な詞を書かれる方だと思いました。

『鮪と鰯』という作品は、ビキニ湾の水爆実験について歌われた曲で、鮪(マグロ)の夫婦がマグロの刺身を食べたくなるというシュールな内容なのですが、淡々と歌われたこの曲には、戦争と水爆に対する山之口獏氏のアンチテーゼを感じることが出来ます。山之口氏が沖縄出身で、戦争を肌で感じてきた世代の人間だからだと思うのですが、こういった詞を語り継いでいくことは、現代を生きる人間として大切なのではないかなと思えてきました。